少しは自身の防災の演習になるだろうかと思い、2カ月ほど前、キャンプに出掛けた。1月に冬山登山などをしたことはないし、寒中のテントで眠れるかと案じながらも、意思と共に体が動いた。この筋で練達の友が誘ってくれたからだ。
事前の助言によると上下の肌着は羊毛を使った製品が好適で寝袋は氷点下18度まで使用可とする物を調達するべし―などとのことで、購入してみた。昨年春と秋、野営でいろいろと教えてもらったベテランは幼なじみだ。同郷の友もう一人と営業中の近郊キャンプ場へ行った。そこで自身が率先してした「仕事」はまき拾い。ベテランキャンパーが持参した、暖をとって調理に活用する可搬型まきストーブにくべる燃料を得るためだった。
のこと斧を使い、炉にくべられる大きさにまきを切り、割った。点火からおよそ8時間燃やし続け、食事調理以外に日本酒のほか、白ワインも熱かんにした。
気温零下で「ストーブ係」として火が消えないよう努めた。〈五感で楽しむことによって、人の心を豊かにしてくれるのがたき火なのです〉。本紙で先週まで連載した「たき火時間」(著者・寒川一さん)にあった。寒中に燃え盛る火のそばで五感を確かめ、ばか話を続けて友情の有り難さもとっくりと味わった。(谷)