1994年リレハンメル冬季五輪のノルディックスキー複合団体で金メダルに輝いた阿部雅司さん(58)が16日、白老町中央公民館で講演し、町民ら約80人が耳を傾けた。阿部さんは選手時代の映像などを交えて自身の半生を振り返り、挫折の経験が金メダル獲得の裏側にあることを伝えた。
町教育委員会主催の公民館講座事業「地域課題セミナー」の一環。スポーツに親しむ環境づくりを進め、運動習慣の定着化を図ろうと開かれた。
留萌管内小平町出身で小学3年からジャンプ競技を始めた阿部さんは、中学校でノルディック複合に転向。高校卒業後の84年4月、東京美装興業に入社し、88年のカルガリー冬季五輪で初めて代表入りしたが個人31位、団体9位。92年アルベールビル冬季五輪では個人30位、団体メンバーから外されるという挫折を味わった。
引退を一度は決意するが妻の妊娠が分かり、「生まれてくる子に自分のスキーをする姿を見せたい」と現役続行を決断。94年リレハンメル冬季五輪では個人10位、メンバーに入った団体では日本が2大会連続、自身初となる金メダルを獲得した。
講演の後は地元のスポーツ団体関係者らとのパネルディスカッションや、町民向けのノルディックウオーキング体験が行われた。