「うそ偽りなく丁寧に説明したい」。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、下村博文元政調会長が衆院政治倫理審査会への出席を自ら申し出て、こう述べた。岸田文雄首相も「丁寧に説明をすることが重要だ」と繰り返してきた裏金事件。本日午後、下村氏がどこまで説明するか分からないが、これまでの政倫審で真相に近づいた実感はない。
昨年11月に鹿児島県・屋久島沖で起きた墜落事故を受け、運用停止措置が取られていた米軍輸送機オスプレイが14日、飛行を再開した。搭乗していた8人全員が死亡した事故の原因は「特定の部品の不具合」。どの部品かも経緯も明らかにされないまま、沖縄県の普天間飛行場から次々と離陸した。林芳正官房長官は「引き続き関係自治体への丁寧な説明を行っていく」と述べた。「特定の部品の不具合」のどこが丁寧な説明なのか。
14日の当欄でも安倍晋三元首相が「丁寧に説明を尽くす」というフレーズをよく使ったと指摘した。今や政府、政治家の誰もが「丁寧に」と付けさえすれば済むと思っている。広辞苑によると「丁寧」は「注意深く心がゆきとどくこと。また、てあつく礼儀正しいこと」。そもそも丁寧でなくてもよい説明などない。日本語を丁寧に学び直してほしい。(吉)