同性婚訴訟で、「婚姻の自由」を保障した憲法24条1項に違反すると初めて判断した14日の札幌高裁判決を受け、原告らは喜びを爆発させた。団体職員の男性(52)は裁判所前で、「夢の中にいるような状況。5年間続けてきて本当に良かった」とむせび泣き、支援者らからは拍手が湧き起こった。
判決後、原告らは札幌市内で記者会見した。同性カップルを公的に認める「パートナーシップ制度」を利用している原告の中谷衣里さん(32)は、「本当に待ち望んだ判決。今振り返っても涙が出るくらい喜ばしい」と笑顔。「間違いなく立法府に大きなプレッシャーを与える内容だった」と話し、国会での議論を求めた。
パートナーと約20年同居しているという原告の男性教諭(49)は、同日の東京地裁判決を受けて原告らが悔しそうに話している様子を見て不安だったと振り返り、「(札幌高裁の)判決を聞いて涙が出た」とかみしめるように語った。
原告側の代理人弁護士は「同性間の婚姻の自由も異性間と同じように保護しなければならないと判断した点で画期的だ」と高く評価した。
一方、東京地裁の原告と弁護団も、判決を受けて東京都内で記者会見。原告の山縣真矢さん(57)は、「違憲状態」とする判断はこれまでも出ているとし、「後退ではないが、前進でもない。裁判長にはもっと勇気を持ってほしかった」と肩を落とした。
弁護団は「国会に対し、同性カップルの婚姻に関する法制度化が強く期待されるという明確なメッセージを発したことは評価できる」などとする声明を出した。寺原真希子弁護士は「判決が国会に期待しているのは、婚姻に類似する制度の創設ではなく、あくまで婚姻の法制度化だ」と述べた。