新潟大と東京大の研究チームは15日までに、家族性アルツハイマー病の原因となる遺伝子を持つ人を対象に、治療薬「レカネマブ」と開発中の新薬を併せて投与し、効果と安全性を調べる国際臨床試験(治験)を開始したと発表した。昨年正式承認されたレカネマブともう1種類を併用する世界初の試みで、新たな治療法の開発につながることが期待されるという。
家族性アルツハイマー病は主に30~50代で発症し、患者数はアルツハイマー病全体の1%以下とされる。親から原因遺伝子を受け継ぐと、親とほぼ同じ年齢で発症するという。脳内に異常なたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」や「タウ」が蓄積することが原因と考えられており、有効な治療法は確立されていない。
治験は世界16カ国で行われ、国内では30~50代の男女4人が参加。全員にレカネマブを投与する一方、開発中の新薬を併用するグループと偽薬を使うグループに分け、4年間かけて脳内のたんぱく質の蓄積状況や薬の効果などを検証する。
新潟大の池内健教授は「治験で有効性が示されれば、患者数の多い孤発性(非遺伝性)のアルツハイマー病の治療法の開発につながることが期待される」と話した。