能登半島地震の被災地、石川県志賀町で5日から5日間、災害ボランティアとして従事した白老町社会福祉協議会の地域福祉課主任、喜納悠介さん(34)が、活動を終えて10日に白老に戻った。現地の町社協災害ボランティアセンター(災害VC)で運営を支援し、「被災者の要望とボランティアを迅速につなぐには、臨機応変な対応力が必要だった」と振り返る。
喜納さんは、道社会福祉協議会の応援職員の一員として現地入りした。道路はまだ倒壊した建物や崖崩れなどで寸断された状態で、地震で息子を亡くした高齢女性と話した際は気丈な振る舞いに胸が詰まったという。
災害VCでは、被災者宅を戸別に訪ね、求めていることを把握するニーズ調査のほか、ボランティア作業員の受け入れ調整や適正な派遣先を決めるマッチング業務に携わった。ニーズの大半はがれきの撤去。被災者との対応では「声掛けや寄り添い方に悩み続けた」と振り返る。
現場は予想を超える忙しさで、被災者の要望とボランティアをマッチングしている最中に、新たな被災者の要望が次々に入ることはざらで、対応に追われ続けた。昼食を早々に食べ、すぐ対応に戻ることが多く、道内から派遣された仲間とは休憩時間や移動の車中で課題を共有した。世間話をする食事中のひとときが、穏やかな気持ちを取り戻す唯一の時間だったという。
「次々に寄せられる要望やボランティアへの対応など、落ち着いて臨機応変に対応する力の重要性を痛感した」と回想。「対応力は社協職員が全員が身に付けなければならず、訓練の必要性がある」との考えを示した。
東日本大震災や胆振東部地震でのボランティア経験を持つ庭山了事務局長(60)は「喜納さんの報告や課題意識の受け止めに成長を感じる。経験や情報を社協だけでなく関係団体とも共有し、啓発の強化で地域防災力を向上させたい」と話した。
能登半島地震の被災地では復旧活動が続いており、道社協は全国社会福祉協議会を通じて2月21日から4月3日まで4回にわたり計11人の応援職員を派遣。喜納さんは2回目の派遣メンバー3人の中の1人だった。