白老町緑町の陶芸家、前田育子さん(55)を迎えた座談会が10日、町大町のまたたび文庫で開かれた。前田さんは「手の中や型を使った作陶に向いており、可能性を感じる」と白老で採取した赤い粘土などについて話し、町民25人が耳を傾けた。
前田さんは1968年、白老町生まれ。89年に東京の陶芸教室に通い、96年にはスペインへ遊学。道工業試験場野幌分場での研修や全国各地の窯業地の訪問を経て、2000年に町内で工房を構えた。
座談会では、企画した町地域おこし協力隊員の羽地夕夏さん(25)が聞き手となり、生い立ちや陶芸を始めたきっかけを聞いた。
前田さんは、大漁旗のデザインに魅せられ、小物や衣類に作り替えて商品化している自身の取り組み「大漁育」にも触れた。売上金の一部は海難遺児基金や森づくりに取り組む苫小牧市や厚真、むかわ、えりも町に寄付しており、白老町には2012年から毎年寄付をしている。「水産振興のためには(河川上流部の)森づくりも大切」と訴え、「森林を管理するのが夢」と語った。
参加した虎杖浜の陶芸家、吉田南岳さん(65)は前田さんの作品について、「シンプルな中に独特な風合いを加えた点が素晴らしい。自然や年輪といったモチーフを扱いながら使いやすい器になっている」と話した。
(Tairyo hug)