東港で良型クロ 早春の投げ釣り開幕

  • 釣り
  • 2024年3月14日
東港で釣れていた40センチ級クロガシラ
東港で釣れていた40センチ級クロガシラ
東港の中央水路。手前は砂浜で奥に護岸帯
東港の中央水路。手前は砂浜で奥に護岸帯

  2月の室蘭港に続き、苫小牧でもクロガシラの岸寄りがようやく始まった。3月上旬、寒い北風に耐えながら苫小牧港・東港中央水路の護岸で投げ釣りをしていた釣り人が40センチ前後の良型を2匹上げて、早春のカレイ釣り開幕ののろしを上げた。

   釣り人は安平町の60代の男性。以前は西港がホームグラウンドだったが、公共埠頭(ふとう)での釣りの制限が厳しくなったこともあって、ここ数年はもっぱら東港という。「早春はカレイが春の産卵シーズンで浅場に入って来る。卵を抱えている良型が釣れる」と言い、中央水路の護岸や砂浜から投げて狙っている。

   中央水路は護岸の一部が浸食されていることもあり、車の進入が禁じられている。男性は釣り場手前の空きスペースに車を止め、徒歩でまだ雪が残る護岸のポイントに入った。

   この日は午前10時に入釣。風は弱いものの北寄りで冷たい。塩で締めて冷凍保存していたイソメを自作の胴突き仕掛けに房掛けにし、100メートルと70メートル付近に投げ込んだ。さおは4・05メートルの2本仕立てだ。

   男性の狙いは満潮時刻前と後の潮の動く時間帯。ところが1時間、2時間、3時間と反応はない。1時間置きに餌を交換したものの、餌は付いたままでさお先はまったく揺れない。「きょうも駄目か」と、満を持した今季2度目の釣行の釣果を諦めかけた午後3時半すぎ、70メートルほど投げていたさおに激しい魚信が来た。

   さお先はビクンビクンと上下に激しく揺れ、直後に道糸がだらんと大きくふけた。釣り人は、リールのハンドルを巻いてたるんだ糸を巻き取り、魚に違和感を与えないよう再び道糸に軽いテンションがかかる程度に再セットした。

   30秒後、2度目の魚信。もう一度糸ふけを取って道糸を張ったところでさおが三たび揺れたことから、三脚からさおを取って大きくあおり、リールを巻いた。

   男性は、ポンピングはせずにさおを大きく曲げたままゆっくりと巻き上げ無事、護岸にランディング。「さおとリールを通して伝わる、グイグイと下に潜ろうとする抵抗と魚の重みが心地良かった」と満足そうな笑顔。「シーズン最初の一匹なので慎重の上にも慎重に取り込んだ」と、ひと息ついて安堵(あんど)の表情を浮かべた。魚は手尺で40センチ強の良型だ。

   30分後には40センチを少し切るクロガシラを追加した。いずれも腹がぷくっと膨らんでいて、卵を持った個体のよう。早い年だと2月にも便りが届く東港のカレイ。4月にはファン待望の有料釣り施設・一本防波堤の開放も始まる予定で、苫小牧はこれから初夏までクロガシラ狙いが楽しめる。

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