先日、母校の小学校を訪れる機会があった。卒業したのは四十数年前。校舎は建て替えられているが、鉄筋の旧校舎やグラウンドにわずかな面影がある。校庭の中に石造りの旧校舎の校門が残されていた。
その学校に小学生時代のクラスメートが校長として赴任している。後輩たちと懐かしい学校の歴史に囲まれながら、母校の運営に携われるのはうらやましい限り。友人は「調べてみると、おれたちが卒業した年がこの学校の児童数のピーク。新しい学校ができて分かれ、少子化で子供も随分減った」と懐かしむ。
かつて小中学校の統廃合議論を数年にわたって取材したことがある。予想以上に地域感情が渦巻き、反対の声が強かった。結果、地域の猛反発もあって統廃合は数年先送りになった。
遅れは子供たちや地域、学校にとってプラス、マイナスのどちらに作用したか…と今でも考えるときがある。当時は「子供の数が激変している以上、統廃合やむなし」とも思った。今、母校を見ると、地域のコミュニティーがある学校はどんなに子供が減っても理屈抜きで残ってほしいとも思う。統廃合が生徒・児童数だけの議論にならないようにするための土壌が欲しい。 (高)