政府・与党が検討している定額4万円の所得減税案で、所得税を1人当たり3万円、住民税を1万円減税する案が浮上していることが25日、分かった。住民税の非課税世帯には7万円を給付する方向で調整。減税と給付いずれの恩恵も十分受けられない世帯への支援も併せて検討する。26日の政府与党政策懇談会で岸田文雄首相が具体策の検討を指示、政府・与党は議論を加速させる。
所得税と住民税の減税は、本人に加えて、扶養家族1人につき同額の減税を行う方針。納税者が家族2人を扶養している場合は計12万円の減税となる計算だ。2024年の通常国会への税制改正関連法案の提出を目指しており、減税が実施されるのは来年夏ごろになる見通しだ。
首相が表明した税収増の国民への「還元」を幅広い層に行うための支援策も焦点だ。具体的には(1)住民税が課税されていても所得税が非課税の層(2)所得税を払っていても合計の納税額が4万円より少ない層―に対しても、給付などによる追加支援を行う方向で検討を進める。
減税の規模に関して、首相は24日、所得税を中心に「2年分の増収分を念頭に還元の額を考える」と言明した。所得税収と個人住民税収を見ると、22年度分は20年度に比べて合計約3・5兆円伸びており、減税規模も同等の水準になる可能性が高い。給付も含めると、「還元」全体では5兆円規模に上る見込みだ。
減税の手法や金額など制度設計の詳細は、与党の税制調査会を中心に年末にかけて詰める。与党内では高所得者を含めた一律の減税について、「一定の所得制限をかけてもいいのではないか」(世耕弘成自民党参院幹事長)との意見も出ており、減税対象の絞り込みも論点の一つになる。