冬に渡来 ハジロカイツブリ 潜水に特化した水鳥

  • 救護室のカルテ, 特集
  • 2023年10月20日
体の後方に付く足と、特徴的な「弁足」のハジロカイツブリ

 野生の動物を間近で見ることができる救護の現場では、その個体の体のつくりに改めて驚くことがあります。特に鳥類にいたっては、分類が異なれば実にさまざまな形態をしており、目を引きます。

 先日搬入された水鳥も、非常に個性的な体形の持ち主でした。それは、冬鳥として国内に渡来するハジロカイツブリ(カイツブリ目カイツブリ科)でした。

 カイツブリの仲間は、水中生活に適した体をしています。全身密な羽毛で覆われ、足は体の後方に位置しています。なぜ、足が後方かというと、潜水して餌となる魚やエビなどを捕食するために、水の抵抗を受けづらく、推進しやすいからと言われています。

 また、水かきの形もかなり特徴的で、カモメやカモの仲間にみられる足の趾(ゆび)と趾の間に膜がある水かきではなく、足の趾それぞれに独立した木の葉状の膜が発達し、「弁足(べんそく)」と呼ばれています。この形状により、潜水中の推進力が増し、方向転換時はかじの役目を果たし、まさに潜水に特化した体なのです。

 しかし一方で、陸地での動きはそう得意でないと言われます。救護室でも、足が後方に位置することで、立ち上がる際は、よいしょ、と言わんばかりに踏ん張って起立。そして歩行時はぴょんぴょんと飛び跳ねるように前進し、また座り込む、の繰り返し。確かに陸地での動きは得意としない印象でした。

 今回の保護経緯も、陸地でカラスに襲われていたとのことだったので、おそらく陸地に着地した際、機敏に逃げることができずに狙われたのかもしれません。ですが、幸いにして大きな外傷も認められず、間もなくリリースとなりました。

 リリースの直前、水中での動きを確認中、弁足を自由自在に動かし、絶妙なバランスで水中を動き回り、俊敏に餌を食べる姿を目にしました。厳しい自然界を生き抜いてきた巧みな技と、その形態に行き着いた進化の素晴らしさを、間近で感じることができました。

 このように救護の現場ならではの距離感だからこそ、生きものたちの魅力を感じられることにありがたさを感じつつも、この尊い命がまた自然界で無事に生きていけるよう、救護活動にも励まなければいけないと改めて思うのでした。

 (ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)

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