病気や災害、自死などで親を亡くした子らを支援する「あしなが育英会」(東京)が今年度、高校奨学金を申請した人の半数以上に給付できなかったことが19日、分かった。新型コロナウイルス感染拡大で街頭募金ができずに資金不足に陥る一方、申請者数は過去最多となったことが要因で、同会は21日から始まる全国街頭募金で広く寄付を呼び掛ける。
同会によると、急激な物価高などを背景に、遺児家庭の保護者の平均年間所得は昨年度より12・2万円減の135・7万円となった。支援を手厚くするため、今年度から奨学金を一部貸与から返済不要な全額給付型に変更したこともあり、利用をためらっていた人たちからの申請が急増。今年度は過去最多の2629人となったが、給付できたのは4割余りの1168人にとどまった。
記者会見した村田治会長代行(68)は「これまでほぼ全員採用できたのに、今回それができなかったのは残念」と語った。
同会は今月21、22と28、29日の週末に全国150カ所の街頭や駅頭に学生らが立ち、「一人でも多くの遺児に奨学金を」と訴える。これに先立つ19日にJR新宿駅南口で募金を呼び掛けた慶応大3年の大隈有紗さん(20)は「私もあしなが奨学金のおかげで高校を卒業し、大学に進学できた。支えてくれた方々への恩返しと、後輩たちへの『恩送り』をしたい」と話した。