前の冬が終わり、青天のへきれきで道東氷都の釧路に波乱が起きた。ひがし北海道クレインズによる給料未払いに業を煮やした所属選手大半による北海道ワイルズ移籍が明らかになった。長年取材したアイスホッケーアジアリーグの今季開幕前にあった一部始終にもどかしさを覚えた。結局は前者が雲散霧消して、新参後者のリーグ加盟もかなわなかった。
日本アイスホッケー界トップ層の異例の展開だった。”移籍組”の中には男子代表級もいて、競技に生活を懸けたプロ選手らがリーグ参戦の機会を棒に振る事態は回避できなかったものなのか。ファンに愛され、所在の各地で地に足を着けるチーム母体で構成されるリーグ組織の再建と持続可能な仕組みの確立へ、関係者が来季に向けて知恵を絞るべきだ。
この秋に今季リーグは始まり、苫小牧で14、15両日にホームのレッドイーグルス(RE)―日光栃木アイスバックスの2連戦があった。REはこのカード1勝1敗。センターの中島彰悟主将は勝利の第2戦後に「次も目の前の1試合に集中する」とかぶとの緒を締めた。生で見るスピード、強度、妙技を貫くあふれる闘志は国内の最高峰、トップリーグならではの魅力だ。釧路の才能みなぎる男たちの一団が戻ってくる日を待ち望む。(谷)