各地から雪の便り。樽前山も真っ白になった。暖かい部屋に寝転んで読書でも―と思ったら、最近買った新書の値段を見て目が覚めた。本が高くなった―。
1週間ほど前の全国紙に出版科学研究所の価格推移の統計が紹介されていた。2011年に平均1100円だった新刊書籍が22年は14・3%高い1268円にになったそうだ。600円以下だった文庫本も711円とある。持ち運びの楽な手元の新書にも、ついに千円超えの波が到達していた。本は食料品に比べて価格が横ばいで「物価の優等生と呼ばれた」と記事にあった。優等生の卒業は鶏卵と同じく、動き出せば早い。油断した。
ロシアのウクライナ侵攻などで用紙代や輸送費用が上昇したのが最近の値上がりの理由。イスラエルの戦争も加わったからさらに上昇するのかもしれない。
家人は、もう読まないと思った本をすぐ古書店に運ぶ。自分はそれほど薄情ではなく、転勤時も運び続けた。この文を書くに当たって古い本を探すと1970年2月発行のある作家の作品集第4巻が出てきた。箱入り、布張りの上製本で厚さ4センチ弱。本文2段組み690ページ。どっしりと重く、何度読んだのか製本が緩んでいる。値段はたったの750円。見間違いかと思った。本が高い。(水)