新聞紙が不足しています―。老人ホームや動物保護団体がホームページで古新聞の提供を求めているのを見た。新聞紙はどこにでも、いくらでもあるものだとずっと感じていたので驚いた。
ホームランを打った後の大谷翔平選手のパフォーマンスで注目を浴びたかぶと。昭和世代なら誰もが一度は新聞紙で折ったことがあるはずだ。丸めてチャンバラもした。冬は雪でぬれた靴を乾かし、はく時に温まっているようにストーブの前に必ず新聞紙が敷かれていた。野菜の水を切るのも、引っ越しの際に食器をくるむのも―。新聞紙は探さなくても手元にあるのが普通だった。
日本新聞協会の調査によると、一般紙とスポーツ紙を合わせた発行部数は2008年に約5150万部で、この年初めて1世帯当たりの部数が0・98と「1」を割った。それまでは、どの家庭でも何かしらの新聞を1紙は取っていた計算になる。それから約15年。昨年は0・53で、2世帯に1世帯は家に新聞紙がない。
内容をさておき「紙」としての効用を説くのもどうかと思うが、どこの家からも新聞がなくなる日を想像するのは恐ろしい。多くの使い道がある新聞と、もちろん正確な記事を、なんとか届け続けたい。21日まで新聞週間―。(吉)