「小さいときから身近な存在」―。製油一課の小野寺亮太さん(31)は苫小牧出身。北海道製油所は言うまでもなく、まちの至る所に設置されたガソリンスタンドを通じて出光に親しみを感じてきた。石油製品は寒さの厳しい北海道では欠かすことのできない重要なエネルギー。「それを生まれ育った苫小牧で造っていることに、やりがいを感じている」と力を込める。
苫小牧工業高校から2010年に入社し、昼夜交代制で働く直員の「フィールドマン」「ボードマン」を経験。製造設備の管理や運転、装置の制御や監視を担当してきたが、「最初は装置の規模が大き過ぎて『覚えられるんだろうか』と不安だった」と率直に振り返る。「きょうは調節弁に注目しよう」などと日々テーマを持って業務に励むことで自信を付け、2年前からは両業務を統括する直長補佐になった。
1直10人ほどの直員を束ねる直長が研修や出張などで不在の際、業務を代行する。直員の安全面を管理する立場も担っており、「単に『どの場所のバルブを操作して』ではなく、どういったことに気を付けながら作業すべきかを、常に伝えている」と話す。細かな気配りでチーム内の安全意識向上につなげており「自分が危険箇所を伝える前に『これに気を付けながら作業します』と無線機から聞こえると、うれしいですね」と笑みをこぼす。
気付けば入社して10年以上がたち、直内には自身よりも年下の若い所員が多くなった。「(供給エリアの)北海道や東北などは土地柄、暖房など化石燃料の需要が高い地域。だからこそ安全、安定運転で製品をしっかり届けることが自分たちの責務」。後進にも共有してもらう強い思いだ。
3年前に10歳年下の同じ苫小牧工業高OBが直員に仲間入りした。「ブラザー」と呼ばれる指導担当員として、1年ほど一緒に業務をこなした。現在は立派に一人立ちし、成長していく姿に「一人前になってきたな」。目を細めた。