渡り鳥のシーズンを迎え、胆振総合振興局と北海道家畜畜産物衛生指導協会は10日、高病原性鳥インフルエンザの防疫演習を安平町早来町民センターで行った。管内の自治体や農業協同組合、畜産関係者など約70人が参加し、養鶏場での高病原性鳥インフルエンザ発生を想定した防疫支援の動きや作業時の防疫衣の着脱方法を確認した。
演習に先立ち、同振興局の勝藤彰地域産業担当部長は「渡り鳥のシーズンとなり、依然リスクの高い状態が予想される。発生すれば道民生活に与える影響は大きく、まん延防止に向け万全の態勢を」と呼び掛けた。
また胆振家畜保健衛生所の平松美裕子予防課長が講義を行い、「1000個以上の鳥インフルエンザウイルスが体内に侵入すると感染が成立する。ウイルスをゼロにすることはできないが、対策を適切にすれば確実にウイルス量は抑制できる」と説明。消石灰や市販の消毒薬が有効と語った。
防疫衣の着脱演習では、同振興局のデモンストレーションに倣って、防疫衣の二重装着や裾の隙間部分をガムテープで目張りすることなどを確認。脱衣の時は表面に触らないよう徹底を求めた。
同衛生所の松岡鎮雄所長は「われわれの力だけでは足りず、地域の力が必要になる。防疫の流れを学び、(高病原性鳥インフルが)起きた時にはご協力いただきたい」と結束を呼び掛けた。
演習に参加した厚真町産業経済課の中村信宏参事は「最前線で従事する人の大変さが分かった。職員のメンタルケアも必要になるのでは」と感想を述べ、町内での再発防止に向けて「小規模農家も含め町職員が1軒1軒丁寧に回って指導していく」と話した。
同振興局によると、2022年秋から23年春にかけて道内で発生した高病原性鳥インフルエンザは千歳市の3件を含む5件。このうち2件が厚真町と伊達市で、22年春には白老町でも確認されている。