旅館やホテルが、客の宿泊を拒否できる要件を明確化した改正旅館業法の成立を受け、厚生労働省の検討会は10日、拒否要件の具体例を示した指針案をまとめた。宿泊料金の不当な割引や、従業員に土下座での謝罪を繰り返し求める行為などを「特定要求行為」とし、宿泊拒否できるとした。パブリックコメント(意見公募)を経て、正式に決定する。
指針案では、従業員への負担が過重で、他の宿泊客に対するサービスの提供を阻害する恐れのある行為を例示。部屋の不当なアップグレードや契約にない送迎、泥酔状態で従業員に繰り返し介抱を求める行為なども宿泊拒否の対象として示した。
一方、聴覚障害者が筆談でのコミュニケーションを求めたり、車椅子の利用者が介助を求めたりすることは特定要求行為に該当しないと説明した上で、「障害を理由とする宿泊拒否はできない」とした。
改正法では、エボラ出血熱や結核など感染症法上の1、2類感染症や新型インフルエンザなどの特定感染症について、発熱といった症状がある宿泊客には客室から出ないなどの協力を求めることができる。客は正当な理由がない限り感染対策に応じなければならないが、指針案では「宿泊客の置かれている状況などを十分踏まえた上で、協力の必要性や内容を判断すること」とし、事業者に柔軟な対応を求めた。