新型コロナウイルス感染症の流行に伴う衛生意識の変化は、整形外科で手術を行った部位の感染(SSI)の発生頻度に影響を及ぼさなかったと、信州大の研究グループが発表した。
SSIは手術の合併症の一つで、予防策として手洗いの徹底をはじめとする院内の衛生改善が推奨されている。研究グループは「コロナ禍で社会や医療機関の衛生意識が向上し、手指衛生の増加やマスク、手袋の適正使用を通じてSSIが減少した」との仮説を検証するため、国内の院内感染対策に関するデータを解析。コロナ流行前後のSSI発生率を比較した。
その結果、SSI発生率はコロナ流行前から減少傾向を示し、直接的な影響を受けていないことが分かった。研究グループは「日本の整形外科領域では、もともと手術前後の衛生管理が十分にされている可能性がある」と分析している。
(メディカルトリビューン=時事)