白老町の一般社団法人白老モシリは7日、海のイオル(伝統的生活空間)「地引き網漁体験」を4年ぶりに町石山の白老港第3商港区で行った。曇天の中、町内外から親子連れなどが約200人参加。重たい網を左右から力いっぱいたぐり寄せ、子どもたちは網に掛かったヒラメやイカなどを見て歓声を上げた。終了後はチマチェプ(サケの串焼き)などアイヌの伝統料理が振る舞われ、笑顔で舌鼓を打っていた。
地引き網漁は、アイヌ民族にとって和人との関わりの中で覚えた漁法だが、その歴史について考え、食べ物を大切にするアイヌの精神文化にも触れる機会として、毎年体験の場を設けている。
参加者は、二手に分かれ、一斉に「よいしょ」と掛け声を響かせながら、港内に仕掛けられた網を力いっぱい何度も引っ張った。
海面から砂浜に網が見え始め、ゆっくりと近づいてくると、掛かった魚が海面から飛び跳ねる様子が見られ、子どもたちは「釣れた!」と大はしゃぎ。網を引く声に活気が増し、砂浜に引き上げられると、掛かっていた小さなフグ、サバ、大きなヒラメなどをじっと観察したり、手に取ったりして地引き網漁の楽しさを満喫していた。
母親と友達の家族の計4人で参加した白老萩野小学校4年の福原百(もも)さん(10)は「フグがかわいらしかった。久しぶりに参加したけど、力がいるので大変だった」とうれしそうに話した。
会場ではサケの解体体験や伝統食のオハウ(温かい汁物)、イナキビご飯、チマチェプの提供があり、おいしそうに頬張る家族連れの笑顔が広がった。体験は14日にも実施する。