鵡川アイヌ文化伝承保存会(新田増美会長)主催の「シシャモ・カムイノミ」体験交流事業が8日、むかわ町汐見の鵡川河口左岸・ムレトイの丘で開かれた。町内外からアイヌ文化の伝承に携わる関係者ら約60人が参加。アイヌの神々へ祈りをささげるとともに、記録的な不漁で今季の出漁が見送られたシシャモの復活を祈願した。
鵡川アイヌ民族が神々からの贈り物に感謝するとともに、豊漁を祈願して古来行っていた儀式。1992年からむかわアイヌ協会の協力支援を受けて毎年10月に定期開催し、今年で32回目を迎えた。
儀式は、秋晴れの暖かい日差しの中で行われ、シシャモの資源回復を願ってイチャルパ(先祖供養)などが厳粛に執り行われた。新田会長は「今年はシシャモ漁が休漁となったが、来年以降、豊漁となることを願ってお祈りさせていただいた」とあいさつ。むかわ町の成田忠則副町長は「漁業者の苦渋の決断を尊重し、これから資源の保全を支援していく」と話した。
宮戸地区のイモッペ生活館で行われた交流会では、苫小牧アイヌ文化保存会や白老民族芸能保存会による古式舞踊歌が披露され、昼食にシシャモ汁やイナキビご飯、シト(団子)などが振る舞われた。