政党交付金という言葉は知っていても、仕組みや実際に支払われている額はあまり知られていないだろう。国が政党に助成するお金で、年4回に分けて交付されている。その財源は税金だ。国民一人当たり250円が徴収されている。政党には議席数などに応じて配分される。
総務省によると、2023年分は自民党の約159億円を筆頭に立憲民主党68億円、日本維新の会33億円、公明党28億円などで対象の9党合わせると315億円。分配方法で議論は分かれるが、制度そのものが国民と政治の約束を破って続いていることはあまり知られてない。
この制度は当時、リクルート事件など「政治とカネ」の問題に国民の批判が噴出。非自民の細川護煕政権が誕生し、自民党が野党に転落した。その時に企業団体献金をやめて、その代わりに税金から政党にお金を助成する。当時の河野洋平自民党総裁と細川首相が約束してできた枠組みだ。
30年を経過し、企業献金は続き、約束は一向に守られていない。河野氏が情報番組で「もう政治の力では変えられないのではないか」と嘆いていた。物価高に国民は苦しみ、政治への信頼も揺らいでいる。もう話題にも上らなくなった「政治改革」の意義を改めて問いたい。(昭)