【ワシントン時事】米連邦通信委員会(FCC)は2日、古い人工衛星を適切に軌道から離脱させなかったとして、米衛星放送企業ディッシュネットワークに罰金15万ドル(約2250万円)を科したと発表した。米当局が宇宙ごみを巡って罰金を科すのは初めて。民間企業による宇宙開発が進展する中、今後同様のケースが増えそうだ。
宇宙ごみは地球の周回軌道上にある不要な人工衛星やロケットの破片などで、衝突の危険が指摘されている。欧州宇宙機関(ESA)の2022年の報告書によると、周回軌道上には3万個以上が漂っているという。
発表によれば、ディッシュは02年に放送衛星を打ち上げ、赤道の約3万6000キロ上空の「静止軌道」に乗せた。12年にはこの衛星を静止軌道から約300キロ高く引き上げて廃棄する計画をFCCに提出し、承認を受けていた。
しかし、22年になってディッシュは衛星の燃料がほとんど残っておらず、廃棄計画に従えないと判断。静止軌道から約122キロ上空のところで衛星を投棄した。
ディッシュは責任を認め、罰金の支払いにも応じるという。FCCは声明で「画期的だ。FCCには宇宙ごみを取り締まる権限と能力があることを明確に示した」と述べた。