日本維新の会の鈴木宗男参院議員がロシアを訪問したことが3日、分かった。昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、日本の国会議員がロシアを訪れたのは初めて。維新は事前に党への連絡がなかったとして処分を検討している。鈴木氏が帰国後に事情を聴取して判断する。
維新の藤田文武幹事長は3日、国会内で記者団に「(事前に)届け出はなかった。党の了承の下で海外渡航するのがルールになっている」と説明。「処分対象として検討に値する」と語った。
鈴木氏は参院には事前に海外渡航届を提出していた。
鈴木氏の事務所やロシア外務省の発表によると、鈴木氏は1~5日の日程でモスクワを訪問。2日にはルデンコ外務次官(アジア担当)と会談した。ロシア側は、鈴木氏が日ロ関係の発展に重要な貢献をしたと評価し、欧米各国と協調してロシアに経済制裁を科す岸田政権を批判したという。
鈴木氏は政界きってのロシア通として知られ、長年北方領土問題などに関わってきた。ロシアによるウクライナ侵攻に関しては、ウクライナ側にも責任があるとの考えを示し、維新内には鈴木氏の親ロシア的な言動を問題視する意見もある。
政府はロシア全土に渡航中止勧告などの危険情報を出している。松野博一官房長官は3日の記者会見で、国会議員も渡航中止勧告の対象となるとの認識を示した上で、「どのような目的であれ、渡航はやめていただくよう求めている」と語った。