むかわ町の鵡川中学校(阿部隆之校長)は29日、地域を交えて巨大地震・津波を想定した避難訓練を行った。全校生徒100人と教職員、近隣の住民らが参加し、津波の浸水区域外までの集団避難を体験。全員が津波到達時間と想定した約40分より早く避難を終えた。一方で、道路の被災状況や高齢者もいることなどを考慮し、「果たして時間内にたどり着けるのか」という声も寄せられた。
学校にいる間に大きな地震が発生し、約40分後に津波が押し寄せてくることを想定して行った。
生徒は校内放送の指示に従って地震から身の安全を守る一斉訓練「シェイクアウト」を校内で行った後、屋外に避難。学校から津波浸水エリア外になっている高規格道路の位置まで、全校生徒が列になって徒歩移動する流れを演習した。
町の津波ハザードマップによると、同校を含む市街地周辺の津波の到達時間は40分ほど。この日、学校から日高道の覆道までの移動にかかった時間は23~25分だった。3年生の土田潤さん(15)は「思ったよりも早く着いた。いざという時はみんなより自分が動いて先導していかなければ」と話した。
参加した町民も中学生よりやや遅れて30分ほどで目的地に到着した。文京地区在住の男性(65)は「実際には電柱の倒壊があったり、今回も車が結構走っていたりしたので(徒歩移動の)危険性は高いと感じた。今後、改善や検証を重ね、より実効性のある訓練をしていけたら」と期待。阿部校長は「避難訓練の目的は自分の命を守ること、そして周りを助けること。かなり速いペースで歩いたと思うが、実際にはさまざまなことが想定される。少しでも早く移動するためにどうしなければいけないか、イメージを膨らませて」と呼び掛けていた。