厚生労働省は日、製薬大手エーザイと米医薬品大手バイオジェンが共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」(商品名・レケンビ)を正式承認した。早期のアルツハイマー病患者を対象にした治療薬で、病状の進行を抑制する。今後、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)で公定価格(薬価)が議論され、早ければ年内に医療現場での使用が始まる。
エーザイの内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は、「アルツハイマー病治療の歴史に新たなページを開くことができた」とのコメントを発表した。
レカネマブは、アルツハイマー病の原因とされるタンパク質「アミロイドβ(ベータ)」を脳内から除去することで、症状の進行を遅らせる効果が期待される。臨床試験(治験)では、投与開始から1年半後の時点で、投与しなかった患者と比べて認知機能の低下を27%抑制。これについて、エーザイは病状の進行を約7カ月半遅らせる効果に相当すると説明している。
中医協は今後、薬価算定に向けた議論を始め、60~90日以内に設定する。海外で先に承認された場合、海外での価格がベースになることも多い。レカネマブが7月に正式承認された米国では、卸売価格が患者1人当たり年2万6500ドル(約390万円)に上る。
内藤CEOは、介護にかかる費用と負担を軽減できる「社会的価値」を考慮するよう主張する。ただ、保険適用により国の財政を圧迫する可能性があり、薬価の議論は難航しそうだ。