秋は

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2023年9月23日

  ふるさとに似合う季節は? 晴れた秋分の日、そんなことを考えながら布団を出た。小川も森もすべてが暖かい春、カラッと暑い夏、ブルっと震え上がる秋、息を吸うと鼻の穴がピタッと凍り付く冬―。今朝の最低気温は何度になったのだろう。日中の暑さへのぐちを忘れたように暖房のことを考えたりする根性なしの自分にあきれながら着替えを済ます。

   毎週のようにテレビの「ポツンと一軒家」を見ている。全国各地の消えたはずの集落に、父母や祖父母たちと暮らした跡を訪ね、家を再生して暮らす人たちの物語だ。常住しないまでも、父母を訪ねるように集落へ帰り往時をしのぶ姿に、山育ちの血が騒ぐ。笑顔がうれしい。

   番組にいろいろなことを教えられる。明治や大正、昭和、戦後の時代に山奥や海辺に入植した人たちは、まず子弟教育のための学校を建てたそうだ。先人たちの教育熱心。産業の興廃があって人口減少が始まると、集落消滅のしんがりを務めるのも学校。「ポツン―」にはそんな校舎や校庭の跡がしばしば登場する。

   道内の自治体の首長の90%が「自治体消滅の危機感を持っている」と、先日の北海道新聞。全国よりも数値が高い。わがふるさとの実情は―と考え、まずは自分の健康を点検する、自分の晩秋。(水)

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