白老町のポロト自然休養林ビジターセンターに設置されたカメラが、北米原産の特定外来生物アライグマのユニークな姿を捉えた。夜間にさまようアライグマがカメラに気付き、立ち上がって警戒するかのようなポーズを取っている。同センターは「一見かわいらしいが、凶暴な動物。見掛けても近づかないで」と呼び掛けている。
カメラはヒグマ被害防止のため8月26日に設置。午後6時46分から映像が記録され、アライグマは翌27日午前0時40分ごろ、撮影された。千葉市動物公園で人気を呼んだレッサーパンダの「風太」さながらの立ち姿で、体の前でそろえた両手も愛らしい。カメラには同日未明までの間に、群れで行動するアライグマも写っていた。
しかしアライグマは、雑食で野鳥の卵を食べるなど地域固有の生態系に悪影響を及ぼすほか、農作物に被害を与えるとして2005年、特定外来生物に指定された。町内の農業被害額も22年度163万6653円に上り、前年度から32万493円増えている。
道によると、雌は1年、雄は2年で成熟するとされ、広範囲に縄張りを持ち、繁殖していく。雌は春の繁殖期に3~6匹の子を産み、生息域の食環境が豊かだと年2回繁殖することもあるという。
町は農作物などの被害防止のため、15年ほど前から町民向けに箱わなを貸し出している。駆除実績は20年度153匹、21年度182匹、22年度279匹と年々増加している。町は広範囲に移動するアライグマの実態把握は難しいとし、今後も貸し出しを継続する。