中古車販売大手ビッグモーターの店舗前で街路樹が枯れるなどした問題で、警視庁と神奈川県警は15日、器物損壊容疑で、同社本社(東京都港区)を家宅捜索した。捜査関係者への取材で分かった。
街路樹問題を巡り、本社に捜索が入るのは初めて。今月、警視庁と神奈川県警は都内と県内の計12店舗をそれぞれ捜索しており、本社の関与を含めた指示系統の解明を急ぐ。
午前10時ごろ、段ボールや台車を抱え、複合施設「六本木ヒルズ」の20階にある同社に入った警視庁と県警の捜査員ら計約35人は、約9時間にわたり社内を捜索。午後7時15分ごろ、段ボール約10箱を灰色のワンボックスカーなどに分散して積み込み、険しい表情で六本木ヒルズを後にした。
都によると、都道に面する14店舗前の街路樹周辺の土壌調査を実施したところ、9店舗で「グリホサート」など3種類の除草剤成分を検出。多摩店では木20本が伐採されていたことも判明した。
警視庁は都が提出した被害届を受理し、8日、世田谷代田店(世田谷区)、練馬西店(練馬区)など都内9店舗を一斉に捜索し、草刈り機や除草剤などを押収した。神奈川県警も6日、川崎店(川崎市)など県内3店舗を家宅捜索していた。
同社店舗前の街路樹の問題は、茨城、群馬、埼玉、静岡、愛知、兵庫、佐賀、福岡各県の店舗でも同様の被害が確認され、自治体が被害届を提出している。
国土交通省は、国管理の国道沿いにある福井、長野、山口、香川、愛媛、福岡、長崎各県の計9店舗でも土壌検査で除草剤成分が検出されたと発表。各県警に被害届を提出するとともに、国が原状回復をした上で、ビッグモーター側に賠償請求する方針を示している。
同社は、店内外の清掃状況などを確認する「環境整備点検」を定期的に実施。街路樹の伐採や土壌への除草剤散布を清掃活動の一環で行っていたと説明している。
広報担当者は「家宅捜索に入っていることは事実。捜査に関しては全面的に協力していく」と話した。