厚生労働省は15日、新型コロナウイルス感染症の10月以降の医療体制に関する方針を公表した。現在全額公費となっている治療薬は、所得に応じて自己負担を求め、保険料が3割負担の人は最大9000円とする。入院費補助は現行の半額となる1万円とし、事前に病床を確保した医療機関に支給してきた「病床確保料」も感染状況に応じた支払いに見直す。
同省の試算によると、新型コロナの初診料は3割負担だと治療薬を含め1万2270円程度。経口治療薬「パキロビッドパック」などは価格が9万円以上に上ることから、自己負担の割合は1割相当の9000円とする。
入院費補助は月額2万円から1万円に縮小した上で、来年3月末まで継続する。一方、4月以降は外来診療や入院医療費について通常の自己負担を求める方針。
病床確保料は、感染拡大に備え事前に病床を確保した大学病院などの医療機関に対し、1日1床当たり1万6000~21万8000円を支給しているが、10月以降は病院別の補助区分を廃止。対象を「重症・中等症2の入院患者」に絞った上で、全国の感染状況などに応じて2万9000~17万4000円を支給する。
入院患者を受け入れた場合など、診療報酬上の特例措置は減額し、来年度の改定で見直しを進める。高齢者施設の施設内療養などは、補助の要件と金額を見直した上で支援を継続する。
政府は3月、新型コロナの感染症法上の位置付けを「5類」に移行した後の医療体制について、ウイルス検査や外来診療は原則として自己負担とすると決定。一方、急激な負担増を避けるため、高額な治療薬などは9月末まで軽減措置の期間とし、感染状況を踏まえて延長の可否を判断するとしていた。