京都アニメーション第1スタジオが放火され36人が死亡、32人が重軽傷を負った事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判第6回公判が14日、京都地裁(増田啓祐裁判長)であり、被告人質問が行われた。青葉被告はガソリンを使った理由について、2001年に青森県弘前市で起きた消費者金融「武富士」の放火殺人事件などを参考にしたと説明。従業員が多く、「大量の人が死ぬと思った」ことから第1スタジオを狙ったと明らかにした。
青葉被告は検察側の被告人質問で、現場に刃物6本を持参した理由を問われると「ガソリンをまいた後に襲われたり、止めに入られたりするのを想定した」と話した。秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大元死刑囚への共感があったとし、「何をやってもうまくいかないところが他人ごととは思えなかった」と述べた。
現場付近の路地でガソリンを携行缶からバケツに移し替えたが、直前になって放火をためらったとした。「自分のような悪党にも良心はある。良心の呵責(かしゃく)があった」とし、悪いことだという自覚があったと認めた。
一方、弁護側の被告人質問では、京アニを狙った理由を「原稿を落とされたり、内容をぱくられ(盗作され)たりして、根に持つ部分が一番大きかった」と述べた。京アニ大賞に自作の小説が落選したことが「かなり大きなきっかけというか、転機になった」と話した。
青葉被告は起訴内容を認めており、刑事責任能力の有無や程度が争点。検察側が完全責任能力を主張するのに対し、弁護側は心神喪失か心神耗弱状態として無罪や刑の減軽を求めている。