本紙連載「郷土の戦後昭和史―苫小牧市制施行75周年企画」は今週、「昭和53年」を特集した。1978年。国内ニュースではキャンディーズが解散し、「勝手にシンドバット」が大ヒット。当地では樽前山小噴火、イトーヨーカドー苫小牧店開店など、この地で育って出くわした事物と重なる記憶がよみがえった。
当時、記者は人気アイドル3人組が表舞台を去ることに一抹の寂しさを感じた小学6年生で、サザンオールスターズのデビュー曲の早口な歌詞を悪友らとまねしようにもできなかった。仲間と手塚治虫の漫画本を貸し借りし、小さな体で無双の力持ちながら、人や同類のロボットとの関わり方にも悩むナイーブな主人公「鉄腕アトム」の物語の深みを知った。自分がロボットたちと同居する未来となるか―と無邪気に夢想した頃だった。
社会人になり、日本メーカー製造の犬型や人型のロボットが器用に動作する様子に感心した。昨年は市内でも大手チェーンや地場飲食店幾つかで配膳ロボの実物数台を目にし、今行けば料理を運んでもらう。つい先日には車を運転中に信号待ちしていたら、実証試験中の「自動運転バス」が横に並んで驚いた。当地公道で初の自動運転バス走行―。郷土年表2023年に載り得る事項だろうか。(谷)