白老町竹浦の飛生アートコミュニティーに関わる札幌市在住の舞台芸術プロデューサー森嶋拓さん(43)は11日、町本町のしらおい創造空間「蔵」内のカフェ「くらと」で、トークイベント「北海道×九州文化芸術交流イン白老―北と南の芸術祭」を開いた。
町民ら約20人が参加。同コミュニティー代表の国松希根太さん(46)と、福岡県の糸島市二丈地区で2年に一度開かれている国際芸術祭「糸島芸農」の実行委員長を務める松崎宏史さん(43)が登壇し、森嶋さんの司会でアートに関わる活動への思いなどを語り合った。
松崎さんは、二丈地区の人口が白老町とほぼ同規模の約1万3000人で、「糸島芸農」では同町の芸術祭「ルーツ&アーツしらおい―白老文化芸術共創」と同じように、全国各地の芸術家が一定期間、まちなかでアート作品を発表していることを紹介。この取り組みは、地元住民と外部の人間が共感や違和感を表明し合う「共同体」ではなく、異質なものを混ぜ合わせて新たなものを生む「共異体」として進めていることを伝え、「(糸島芸農が)まちの祭りとなるよう、長い時間をかけてなじんでいく過程を大事にしたい」と述べた。
国松さんは九州の芸術祭関係者との交流について「互いのことを理解し合うために、それぞれの土地を訪ね合うなどして、時間をかけて関係を育てていきたい」と語った。企画した森嶋さんは「具体的にどんなことをしていくのかはこれから。きょうの交流が北と南の関係を深めるきっかけになれば」と期待を寄せた。
参加した竹浦の画家、田中照比古さん(73)は「アートと地域が結び付き、新しい何かを生むような楽しい時間だった」と話していた。