【ハウズ(モロッコ)時事】モロッコを襲った大地震は12日深夜(日本時間13日朝)、発生から丸4日が経過した。震源のアトラス山脈一帯は耐震性に乏しい建物が多く、各地で住宅が倒壊。ロイター通信によると、少なくとも死者は2901人、負傷者は5530人に達している。被災地の多くは山間。崖崩れなどで交通が寸断しており、支援を待つ住民の手に物資が十分に行き届いていない。
甚大な被害を受けた中部ハウズ県の町アミズミズ。観光地マラケシュの南西約60キロに位置する町は比較的救援活動が進んでいるとされる。しかし、12日に訪れると、避難所は混乱していた。
「私にはテントが必要なの!」。年配の女性が叫んだ。ボランティアが用意したテントを手に入れられなかったようだ。
アミズミズにはモロッコ政府やNGO、一般ボランティアから水や食料、テント、毛布などが届いているが、足りていないという。物資が到着すると、避難所の人々は車両に群がり、手を伸ばしていた。
先ほどの年配女性が抗議を続けると、その主張に腹を立てる人や、なだめようとする人の輪ができ、事態は次第に大ごとに。しかし、「今こそ神に感謝するんだ。われわれは生きている。多くの人が死んだんだ」と高齢の男性が言うと、騒ぎはすっと収まった。結局、翌日に年配女性にテントが渡るよう、名簿を作ることで解決した。
毛布の配分を巡る言い争いもあった。しかし、カサブランカから支援のためアミズミズに帰省したアヌアル・エルバスさん(26)は、「彼らは悪くない。生きるために必死なだけだ」。被災者を気遣いながら荷降ろしに向かった。