全国各地で空き家が増加傾向だ。国や都道府県、市町村が有効活用を探るなど対策に力を入れているが、住宅総数に占める空き家の割合は1割超。記者も近所で増える「売り家」の貼り紙やのぼりに深刻さを実感していたが、ついに自宅の隣も、向かいも、空き家になった。
かくいう自身も両親から相続した実家を何年も空き家にしていた。支局勤務で住むことがかなわず、数カ月ごとに窓を開けて風を通し、最低限の雪かきをする程度の管理を続けた。処分も頭をよぎったが、そもそも立地条件が良いとは思えず、余計な費用や時間がかかるイメージ。どうにも決断できなかった。
結局は愛犬と住むことになったが、老朽化が想像以上に進行し、手入れで出費がかさんだ。庭も荒れ放題で、雑草はたくましさを増していた。ビニールシートを敷いたが、抜本的な解決にはならず、何かの事件現場のようになった。景観を損ね過ぎないよう、時間を見つけては草を刈るが、なかなか追いつかない。
空き家の放置は、リスクを高め、不利益になるばかり。売却や賃貸をしようにも、時間の経過とともに、価値は低下の一途をたどる。空き家を抱える前から準備するぐらいの心構えが、求められているのかもしれない。(金)