岸田文雄首相(自民党総裁)は8日、内閣改造・党役員人事を13日に行う意向を固め、複数の与党幹部に伝えた。党内最大派閥・安倍派に所属する松野博一官房長官と西村康稔経済産業相は引き続き要職に起用する方向で調整。刷新感を演出するため「骨格」以外の大幅な顔触れ入れ替えも検討する。
公明党の山口那津男代表は8日、那覇市内で記者団に、インド訪問中の首相から電話で連絡があったと明らかにした。首相は「13日を目指して準備を重ねている。帰国後、会って話したい」と説明したという。
松野、西村両氏は安倍派の意思決定機関「常任幹事会」メンバー。首相は同派有力議員の萩生田光一政調会長も重要ポストに充てる意向だ。第2、3派閥を率いる麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長の続投に加え、安倍派の3氏も要のポストに配置することで、政権運営を安定的に進める狙いがある。来年秋の総裁選を優位に進めたい思惑もあるとみられる。
政権内では安倍派3氏の留任案に加え、萩生田氏か西村氏を官房長官に登用する案も浮上している。
内閣支持率が低迷する中、首相にとっては次期衆院選もにらみ、政権の清新さをアピールできるかも課題だ。首相は大幅交代による若手や女性の抜てきを探っている。
内閣改造は当初、首相がインドから帰国する11日からの今月第3週と、訪米から帰国後の25日からの最終週という二つの選択肢があった。第3週を選んだのは、時間をかければ党内の駆け引きが激化しかねないと懸念したためだ。国民民主党の連立参加を模索する動きもあったが、実現が当面困難になったとの判断も影響したとみられる。
首相は11日にも茂木氏や山口氏と会談する。政府・自民は人事の一任取り付けのための党役員会・総務会を経て、13日午前に党役員人事、同日午後に内閣改造を行う案を軸に調整している。副大臣・政務官人事は15日に行う案が出ている。