洋上風力発電事業を巡り、秋本真利衆院議員(48)=自民党を離党=が風力発電会社「日本風力開発」(東京)の前社長から同社に有利な国会質問をした見返りに多額の資金を受領した疑いが強まったとして、東京地検特捜部が近く、同議員を本格捜査する方針を固めたことが6日、関係者への取材で分かった。
特捜部はこれまでに、秋本議員の議員会館事務所などを収賄容疑で、同社の塚脇正幸前社長(64)の自宅などを贈賄容疑で捜索し、2人から任意で事情聴取した。
関係者によると、秋本議員は周囲に、受領した資金の賄賂性を否定している。塚脇前社長は聴取に秋本議員への賄賂を認め、「日本風力開発の事業を後押ししてくれることへのお礼の気持ちがあった」と供述。特捜部は、前社長についても刑事責任を追及するとみられる。
秋本議員は2019年から今年にかけ、塚脇前社長から計約6000万円を受け取ったとされる。
洋上風力発電を巡っては、普及拡大のための海洋再生可能エネルギー整備法が18年11月に成立。事業者に最大30年間の一般海域の占用を認め、事業者は入札で決めるとされた。同社は青森県の陸奥湾などで事業参入を目指しているが、20年11月に始まった秋田、千葉両県沖の公募では選ばれなかった。
秋本議員は19年の国会質問で、「国防に支障がないなら、洋上風力が青森県でもしっかりと展開されるべきだと思う」などと発言。22年には「次回の公募から評価の仕方を見直していただきたい」と要望した。
特捜部は、秋本議員が国会で同社に有利な質問をした見返りに多額の資金を受領したとの見方を強めて調べている。
秋本議員が19年に受領した約3000万円について、同議員と塚脇前社長はいずれも、一時的な貸し借りだったと主張している。