第2部 被災3町長インタビュー 上 この5年間は重要な期間 減災の取り組み地域住民巻き込んで

  • 特集, 胆振東部地震から5年 今を伝える
  • 2023年9月6日
厚真町 宮坂尚市朗町長

 ―震災から5年間、どのように過ごしたか。

 「被災者の皆さん、復旧作業に当たった方々の感覚は違うが、大規模な自然災害を経験した町として、この5年間は重要な期間だった。一刻も早い復旧期から復興期を目指す私たちにとってあっという間だった」

 ―吉野地区の整備について。

 「被災した当時、震災遺構の代表的な場所について、慰霊する環境を整備していく話をしていたが、住民と話す中で『そういったものは望まない』という声があった。われわれが管理し、宅地としていつでも使える状況にすると約束しているが、被災者の意向に反してスポットライトを当てるようなことはしたくない。ただ、桜が満開で美しい景観だったので、その修復だけは地権者の皆さんの了解を得て今後も進めていきたい」

 ―震災の経験を伝えて行く方法は。

 「応急期の被災者の皆さんとの協力関係、仮設住宅に移行するさまざまな苦労話、恒久住宅対策を講じた後の悩みを聞き取り、これから被災する可能性のあるところに、行政としての対応をまとめた冊子を手に取ってもらえるよう準備している。厚真町が5年でどのような復旧を遂げたのか、冊子や動画を通して、全国の皆さんにもう一度町の状況を気にしていただけるようにしていきたい」

 ―森林再生について。

 「所有者の皆さんに手応えを感じてもらうことが必要。再生の実施計画を策定して進めており、この2年間で30%の森林造成が実現する予定。当初は(樹木を伐倒、除去する)特殊地拵(こしら)えで相当てこずったが、年間100ヘクタール超えの植林を進め、2021年度前と比べると雲泥の差がある。被災した約3200ヘクタールのうち植林できるのは約980ヘクタール。それ以外は自然の治癒力に委ね、治癒力を促していくことが適切」

 ―町民の心のケアについて。

 「心的外傷後ストレス障害(PTSD)と判定される町民が初年度は16%ほどいたが、一人一人の力で回復し、現在は7%ほど。プロ集団である行政、臨床心理士、医療従事者が手を取り合って個別対応していく。何より大事なのはコミュニティーで人と人がつながっていくこと。コミュニティーを活性化させて住民同士支え合い、悩みや不安の払拭(ふっしょく)に努めることを続けていきたい」

 ―さまざまな自然災害が多発しているが、他の自然災害対策については。

 「厚真町はずっと悩まされてきた洪水からの脱却がまちづくりの基本だった。厚真川の河川改修とダムの建設で洪水の頻度を下げ、避難指示を出した時に町民が対応する訓練を重ねてきた。さらに日本海溝・千島海溝の連動型地震の津波避難対策特別強化地域にも指定されており、津波による被害を防止、減災する取り組みを地域住民を巻き込んで進めている。24年度には具体的な事業を起こす」

 「行政が徹底的に備えるのは当然だが、自分たちのまちを眺めてどこに予防線を張り、備えるべきか、他人事ではなく、あす起きるかもしれない備えをしてもらいたい。子どもたちの防災教育や家族ぐるみで話題にすることで、行政から発信された場合は真っ先に行動する、その両輪がなければ命は守れない」

 ◆

 2018年9月6日に発生した胆振東部地震から5年を迎えた。大きな被害を受けた厚真、安平、むかわの被災3町の町長に現状や課題などを聞いた。

 (全3回、胆振東部支局・石川鉄也が担当します)

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