秋の訪れを初めて感じさせるような涼風を「秋の初風(はつかぜ)」と呼ぶそうだ。戦後最も暑かった今夏。36度超えの猛暑日を含む熱帯夜が続いた札幌も、朝晩はようやくそんな風が吹き始めた。暦も変わって、初秋を迎えている。
ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランの歌を思い出している。彼のアルバムを最初に手にしたのは1970年代前半、16歳の頃だった。苫小牧のレコード店で買った。タイトルは「時代は変わる」。〈今は勝者でも やがては敗者になるのかもしれない だって時代は変わっていくのだから〉とつぶやくように歌う。
札幌市中心部も大きく変わろうとしている。古い商業ビルが次々に取り壊され、新しいビルに生まれ変わっていく。再開発のつち音がやまない。先日は駅直結のエスタが45年の歴史に幕を閉じた。単身赴任の身。あそこの地下食品売り場は仕事帰りに随分利用したので、寂しい。最終日の売り場はごった返していた。5年後に新たな「サツエキの顔」として、43階建ての超高層ビルが誕生するという。
千歳市では、本道の産業構造を大きく転換する国家プロジェクトも始動。次世代半導体の量産化を目指すラピダス(東京)が工場建設に着手した。道央圏は急速に時代が変わろうとしている。(広)