気象庁は1日、日本の夏(6~8月)の平均気温が観測史上最高になったと発表した。都市化の影響が少ない全国15観測点の平均気温が平年(2020年までの30年間平均)を1・76度上回り、1898年の統計開始以来、最も高くなった。これまで最高だった10年夏の平年差プラス1・08度を大幅に超えた。
一方、全国149観測点のデータに基づく地域別の平均気温は、北海道が平年差プラス3・0度、東北が同2・9度、北陸が同2・1度、関東甲信が同1・8度、東海と中国が同1・3度で、いずれも1946年の統計開始以来の最高。近畿は同1・0度で、94年と18年の最高記録に並んだ。
同庁が8月28日に異常気象分析検討会を開いた結果によると、この記録的高温は亜熱帯ジェット気流(偏西風の一種)が平年より北に蛇行し、梅雨明け後の7月後半は太平洋高気圧が日本付近に強く張り出したのが主因。8月は東へ後退したが、台風などの影響で南から暖かく湿った空気が流れ込み続け、日本海側はフェーン現象が起きやすかった。中村尚会長(東京大教授)は日本全体の平均気温は「歴代の記録と比較して圧倒的に高く、異常だった」と話している。
日本近海の夏の平均海面水温が平年を1・0度上回り、82年の統計開始以来最高となったことも、北海道や東北を中心に気温に影響した。特に8月は山形県から能登半島にかけての沿岸海域で、日本海側では初めて海面水温が度以上となった。
観測点別では、全国最高気温は福島県伊達市と石川県小松市の40・0度にとどまったが、全915観測点のうち35度以上の猛暑日になった日ごとの地点数の合計が6691地点となり、10年以降で最多。地点ごとの最高気温記録に並ぶか更新した所は128地点に上った。
東北と北陸は少雨も目立ち、8月の降水量は東北が平年比45%(うち日本海側同19%)、北陸が同24%にとどまった。長引く猛暑で熱中症になる人が多いほか、農作物への悪影響も懸念される。