サバが苫小牧港や室蘭港でポツポツと釣れている。ひと頃より釣果は落ちているものの、良型が掛かれば特有の強い引きで釣り人を魅了する。8月中旬、室蘭港でメタルジグを投げて良型を狙っていた釣り人に取材した。
釣り人は、室蘭港をホームにルアーで楽しんでいる地元の40代の男性。この日、入江地区やL字岸壁、崎守地区でサバが釣れていた同港のフェリー埠頭(ふとう)を訪ねると、隣の岸壁でスピニングロッドを使い、水路の中央に向けてジグをフルキャストしていた。
夕まずめ時間帯は魚の活性が上がるため釣り人が増えるが、取材日は昼下がりということもあり、20組ほどがのんびりとサビキ仕掛けの糸を垂れていた。掛かるのはサバとイワシだ。サバは15~40センチと幅がある。イワシは20センチ弱。うちサバは1時間で多くて20匹、少ない人でも5、6匹釣っていた。
男性はサビキ釣りの人たちの一番端に陣取り、遠投を繰り返していた。狙いは40センチ級のサバだ。サバの良型は日中、群れの下層や水路の深みにいることが多いという。このためメタルジグをフルキャストし、水路の中央の深みを泳ぎ回っている大物を探っていた。
ロッド操作はさおをしゃくる「ジャーク」が中心。ルアーを投じた後、リールのベールを開放したままラインを送るフリーフォールで10カウントほどジグを底層に落とし、それからジャーク。素早くロッドをしゃくっては、ロッドを下げながらリールを1、2回転巻き、またしゃくるという動作を5、6回続けた。この後、再びジグを底層に落として同じ動作を繰り返した。
魚信があったのは、始めてから小一時間たったころという。ジグを投げて何度目かのしゃくりで「ガツン」と来た。良型のサバは、いきなりロッドを引き込むように当たるのが特徴。手前に寄ると猛スピードでまさに縦横無尽に走る。男性は「大事を取ってたも網でキャッチした」とうれしそうに振り返った。
サバは、ジグがヒラヒラと落ちる時に食ってくることが多い。使っていたジグは30グラム。「ゆらゆら落ちやすいセンターバランスを選んだ」という。深みから引き抜いた魚は狙い通りの40センチ弱。中型以下はリリースで「目標は良型5匹」とか。手応えが楽しいサバ釣りを満喫していた。