日本人の人数は前年に比べ80万523人減の1億2242万3038人となった。減少数は1968年の調査開始以降で最大だった。死亡数は156万5125人で、これも過去最多。総務省が先頃発表した、今年1月1日現在の住民基本台帳に基づく人口動態調査の結果だ。
多死社会という、見慣れない言葉が以前の新聞にあった。1月に東京で孤独死した独居の65歳の男性の葬儀手続きが、生活保護の給付担当者の繁忙で先送りされ、2カ月半後に収容された時には遺体の一部が白骨化していた―という記事の見出し。高齢化の進展などで死者数が増えるのが多死社会だ。人口動態調査を見ると、多死の大波は47都道府県すべてを覆ったという。今、多死化=人口の減少は葬儀数の過剰と重なっているから、家族葬など葬儀の小規模化が進んでも、都市部では葬儀件数はさばき切れず「10日~2週間待ちが普通」と先日のテレビの特集。10年ほど前の、首都圏での身内の葬儀を思い出す。無駄だとは思わない。でも無言の人と過ごす数日は、長い。
死者が増え、一方で赤ちゃんは減る。年間の出生数は初めて80万人を割り込み77万747人。少子化が「少死化」という言葉と重なるのはいつ頃か。その頃、葬儀はどう変わっているのだろう。(水)