2018年9月6日に発生した胆振東部地震で震度7を観測し、大きな被害を受けた厚真町の宮坂尚市朗町長は29日、町総合福祉センターで記者会見を開いた。宮坂町長は「これから先の未来に向かって新たな厚真町の輝きを取り戻すためにさまざまな工夫、町民一丸となった取り組みが必要」とさらなる復興への思いを口にした。
国や道などで行ってきた大型の災害復旧事業は、今年度中におおむね完了する見通しで、宮坂町長は「復旧工事に当たっていただいた行政機関、町職員の獅子奮迅の努力に敬意と感謝を申し上げたい。おかげを持って大規模な自然災害が起きた被災地としては、非常に速いスピードで復旧が進んだのではないか」と一定の評価を語る。
「ただ、災害復旧が終わっても被災地は元に戻っただけで、それは形だけ」とも指摘。森林再生による景観形成や宅地耐震化事業、町民の心のケアなどについては「まだ相当な時間を要する」と語気を強める。
さらに「震災の記憶を決して風化させてはいけない。われわれが経験してきた復旧過程や応急期の対応を教訓として全国に伝えていきたい」と話し、今後公開予定の冊子やインターネット動画を使って各地に発信していく考えも明らかにした。地元でも子どもたちを中心に防災教育や町民の意識醸成を図る取り組みを継続し、「全国の皆さんにいい意味で波及効果を及ぼしていけたら。少しでも犠牲になる方を少なくする抑制効果にしてほしい」と期待を込めた。
5年前に道内全域を襲った大地震で厚真町は、道内史上最大となる震度7を観測。山腹崩壊により約3200ヘクタールに及ぶ森林が被災するなど大きな被害に見舞われ、災害関連死を含む37人が亡くなった。