自民党は29日、党本部で政調全体会議を開き、ガソリン補助金制度の延長・拡充策を盛り込んだ提言案をまとめた。9月末とする期限を年末まで延ばし、支給額の拡充を求める。レギュラーガソリンの小売価格は全国平均で1リットル当たり185円台の過去最高水準に迫る。自民党は負担軽減が実感できるよう170円台への抑制を目指しており、175円前後までの押し下げも視野に入れる。
30日に公明党も政調全体会議を開いて補助金制度の延長・拡充を議論、自民党は岸田文雄首相に提言する。政府・与党は、首相が指示した月内の対策取りまとめへ詰めの調整を急ぐ。
補助金は、石油元売り会社に支給し、卸価格を引き下げることで給油所の店頭価格を抑える仕組み。今年6月以降は、原油高が落ち着いたとして補助率を段階的に縮小しており、9月末で終了する予定だった。
しかし、原油価格が上昇に転じた上に円安も重なり、ガソリン価格は急騰。今月21日時点の全国平均価格は183円70銭と14週連続で上昇した。基準価格168円と予測価格の差が、25円を超えた場合に発動する追加補助も含めて12円の抑制効果があったものの、30日の発表で過去最高を更新するとの見方が出ている。
党内では、現在30%の補助率について縮小を停止し、加えて追加補助の発動条件の緩和で予測価格が185円を超える分は全額支給する案が浮上。さらに補助を手厚くする案も出ている。
このほか、提言案には、9月末で終了する電気・ガス料金に対する支援策の継続も盛り込んだ。政府・与党は今後、電気・ガス料金の負担軽減措置などを含む大型経済対策を策定する方針だ。
西村康稔経済産業相は29日の閣議後記者会見で「国民の負担感が大きくなっている」と指摘。「負担軽減に向けた取り組みは一定(期間)継続する必要がある」と述べた。