2018年9月6日の胆振東部地震発生から5年がたつのを前に、むかわ町の鵡川中学校(阿部隆之校長)では町民への聞き取り調査を本格化させている。22日は2年生が、町役場や胆振東部消防組合消防署鵡川支署、町社会福祉協議会の担当者ら計6人から被災体験や苦労話を聞いた。
むかわ町で大きな地震があった事実を震災の記憶としてとどめ、自らや地域の防災減災につなげていこうと初めて企画。生徒が6グループに分かれ、それぞれの当事者から聞き取りを行った。
消防署の担当者は発災当初はまちの見回りに追われた。「(停電の影響で)情報が得られず苦労した。大きな地震災害を経験したことがなく手探り状態だった」と振り返り、負傷者などを搬送した病院は「けがをした人であふれていた」と話した。
町社協の福井真由美事務局長は、発生から8日目の9月13日に災害ボランティアセンターを立ち上げたことなどを説明。延べ3000人を超えるボランティアの支援を受けたほか、ポスティング作業に鵡川高校野球部が関わったことや、被災した店舗前のコンパネを使って地元高校生やボランティアの大学生らがウオールペイントをしたことも伝えた。
また、活動資金が赤い羽根共同募金で成り立っていることを挙げ、「皆さん一人ひとりの力が全国で困っている人たちの支えになっている」と実感を語った。生徒を代表して謝辞を述べた六角明憲さん(13)は「いざという時にどうしたらいいのか、避難訓練の大切さを改めて感じた」と話していた。
このほか3年生は24日に地域住民、1年生は家族などへ個別に被災体験の聞き取りを実施する予定。これらの意見を集約し、9月6日に同校で開く防災集会で発表する。