活断層の過去の動きから津波の性質を調べる地質調査が、北海道大学などの共同研究チームにより厚真町浜厚真などで行われている。町内の調査では、約3000年前と1667年の樽前山噴火で降った火山灰の地層の間に、津波堆積物があることを確認。約400年前にこの周辺で津波があったと考えられ、「東北地方で大きな被害が出た1611(慶長16)年の慶長三陸地震と関連があるのでは」と推測している。
調査を行っているのは、北大大学院理学研究院の西村裕一准教授、新潟大学教育学部地学教室の高清水康博准教授、東北大学災害科学国際研究所の菅原大助准教授のチーム。奥行き約5メートル、幅9メートル、深さ約1・5メートルの大規模な溝を掘り、18~21日に津波堆積物の特性などを調査した。
関係者によると、この規模の掘削調査は全国でもほとんど例がなく、「地下で起きていることを断面上で見ることができる貴重な機会」と言う。高清水准教授は、津波堆積物について「厚さ20センチほど積もっている箇所もあれば、なくなっている場所もある。過去の津波の強度、履歴を把握することで、歴史上証明されていないことが分かるのでは」と期待する。
西村准教授は「慶長三陸地震では、場所は明確ではないが道内でも死者が出るほどの被害があったことが分かっている。(堆積物は)当時の津波の痕跡ではないか」と推測。「津波はめったに起きないけれど、起きたら大変なことになる。歴史の記録だけで分からないところを地質で調査していきたい」と話している。
調査は厚真を皮切りに25日まで、苫小牧市、むかわ町、白老町でも予定している。