原発から出る使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の建設を巡り、調査を受け入れた山口県上関町の西哲夫町長は18日、記者団の取材に対し「現実を直視して考えないといけない。感情論では、この町は耐えられない」と訴えた。
町内では、1982年に上関原発計画が浮上し、推進派と反対派に分断された。浮揚策として期待された原発の準備工事は2011年の東京電力福島第1原発事故後に中断。人口減少は進み、高齢化率は6割近くに達した。西町長は「41年間で町の人口は3分の1に減った。財政も逼迫(ひっぱく)し、第1次産業も壊滅状況だ」と危機感を募らせる。
調査だけでも、国から多額の交付金が出る。調査開始から年1・4億円、県知事が同意してからの2年間は、最大年9・8億円に上る。結論を急いだのは交付金が理由かと問われた町長は「そういうことではない」と強く否定。「長引かすことがいいのかどうか。それこそ住民の分断を引っ張っていく」と話した。