310万人。第2次世界大戦の犠牲者の数だ。うち、軍人・軍属が230万人、民間人は80万人にも達する。数字だけ並べても正直、実感が湧かないほどの膨大な死者。この中に苫小牧市の戦没者631人も含まれる。その遺族や戦禍を知る人は年ごとに減ってきている。戦争を知らない私たちは何を伝えていくべきか。重い課題に向き合う終戦の日を迎えた。
歴史家で長年、昭和史を研究していた作家の半藤一利さん。2021年に亡くなったが、遺稿として出版された「戦争というもの」(PHP研究所)。そこで半藤さんはこうつづっている。「戦争の残虐さ、むなしさに、どんなに衝撃を受けたとしても、受けすぎるということはありません。破壊力の無制限の大きさ、非情さについていくらでも語り続けたほうがいい」。
半藤さん自身も14歳の時、東京大空襲を経験。九死に一生を得ている。戦時では「自分が生きのびるために人の死などかまっていられない。戦争とはそういう非人間的なものです」と指摘する。半藤さんのように体験を語れる人はどんどん少なくなる。これからは、次の世代、若い世代の双肩にかかっている。日本人が戦争を深く心に刻む78回目の夏。歴史をしっかり学ぶ日にしたい。(昭)