ロシアのウクライナ侵攻で始まった戦争は間もなく1年半になるが収束の気配はなく、むしろ戦火は拡大しているかに見える。ミサイルや無人機など最新兵器を使った暴力的な攻防だけでなく、印象操作など情報戦も激しい。真実は何かが分かりづらく、混迷の度を深める。
第2次世界大戦の終結から78年。日本は、広島、長崎への原爆投下で無条件降伏。二つの爆弾で21万人以上が直後に亡くなり、その後の関連死を含めると今夏までに死者52万人以上となった。一瞬にして町も人も死の灰と化す原爆の怖さを改めて思い知る。
その後の朝鮮戦争では、米韓軍の総司令官マッカーサーが、北朝鮮・中国軍との戦いに原爆26個の投下許可を米大統領に要請。当時のトルーマン大統領がこれを却下、戦争の拡大と悲劇を回避した。
今、世界ではロシアとウクライナの間だけでなく、イスラエルとパレスチナの紛争、スーダンの内戦などによる悲劇が繰り返されている。戦争がいったん始まれば際限なく続き簡単には終わらない。そして戦争の本当の怖さは、戦いの狭間で敵味方に関係なく残虐行為が横行し、人の理性が失われてしまうことにある。あすは終戦の日。政治への無関心が戦争を引き寄せることを心に留めたい。(教)