ひと昔前は妙齢になると、大抵は結婚して子供が生まれ、「○○さんのお母さん」とか「おばさん」と呼ばれた。今は未婚者や子供のいない既婚者がいて、安易に「おばさん」と呼ぶと相手を不快にさせることがある。
いつからか女性の集いを、参加者の年代を問わず女子会と呼ぶようになった。また、かつて女性雑誌が使い始めた呼称のアラサー(30歳前後)はすぐに支持され、アラフォー、アラフィフなる言葉も生まれた。おばさんには初老、身勝手、うわさ話が好きなどのイメージがあり、こう呼ばれるのを嫌う女性は多いのだ。
とはいえ、おばさん、お姉さん、お母さんなどは、人を大枠でくくる時に使われやすい。特定の個人を意味するわけでなく、事実を表すとも限らない。だから、この手の呼称で呼ばれた時は、相手とはそう呼ばれる程度の関わり、と考えてみてはどうだろう。
ぞんざいに使われた言葉は聞き流されやすい。それを見越して使われた言葉にこだわるより、年を重ねただけの人間になる方がよほど大事だ。「あなた一体、幾つなの?」と気の毒そうに言われるのは、おばさんと呼ばれるよりずっと悲しい。いや恐ろしい。かく言う記者は…。胸に手を置く。(林)